想定した需要と供給のバランスを保ったまま推移せず余剰在庫を抱えてしまう事例は、法人において稀有ではありません。
余剰在庫を抱えてしまった場合、保管場所に余裕があれば保管し続ける事が一般的ですが、在庫にも税金が発生するため保有し続けている限り支払う税も高額になります。

在庫の範囲

そもそも、在庫というのは非常に広い範囲を対象にして用いられている言葉であり、売れなかった商品に限らず包装紙や化粧箱、リボンや印紙、包装用紙に至るまで在庫として扱われます。
そのため、取り扱いしている商品の種類やカテゴリが多い場合の他に、商品を販売する際に装飾をする機会が多い場合も在庫を抱えるほど税金による負担が大きくなります。

また、特に製造を行っている企業の場合、自社製造の製品の他に外部から得た原材料や商品も挙げられます。

在庫が増えると税金も増える⁉

在庫が増えたということは、商品が売れていないことになります。
ですが、在庫は資産として計上するため、在庫が増えると利益が上がることになります。
利益が上がると税金の額も増えるので、在庫が増えると税金も増えます。

利益の出し方は 売上総利益=売上-仕入原価 となります。
ここで注意していただきたいのは 仕入原価=仕入れ ではないことです。
仕入原価とは 当期仕入れ-当期の在庫 の数字になります。

【例】
■A社 売上100万、仕入れ50万、在庫10万

売上100万-(仕入れ50万-在庫10万)=売上総利益60万

■B社 売上100万、仕入れ50万、在庫30万

売上100万-(仕入れ50万-在庫30万)=売上総利益80万

売上と仕入れが同じ額でも、在庫が増えると利益が増えているのがわかります。
この利益に税金がかかってくるので、在庫が増えると税金が増えるということです。

まとめ

そもそも在庫が増えたということは商品は売れておらず、販売利益を得ていません。
販売利益の現金が無いのに、納税額は上がってしまいます。
ですが、会社に現金が入ってきていないため、納税資金が無い状態です。
在庫を抱え続けると、このループを繰り返してしまいます。
企業としては避けたい状況ですね。

定期的に棚卸しを行い管理を徹底することで、過剰な在庫は避けることができます。
できるだけ無駄な在庫を持たないように管理しつつ、在庫が発生してしまった場合には仕入れ時との価値を比較し評価損益を計算したり、在庫処分の検討をするようにしましょう。