期末になると、その年度の収支状況を確認するために決算整理をする必要があります。
その際に問題となるのが在庫で、これを抱えている場合にはその分もきちんと計上しなければなりません。

在庫とは?

「棚卸資産」の一部であり、きちんと計上されているかどうか税務調査で調べられやすい科目の1つでもあります。
この「棚卸資産」を、多くの経理担当が決算日に倉庫にある商品のことだと思っていますが、実はこれは誤解です。
一般的に「棚卸資産」とは、商品・製品・仕掛品・貯蔵品のことを言いますが、これ以外にも「未着品」や「トラック在庫」と言われるものもその中に含まれるのです。

「未着品」とは、注文は完了しているがまだ届いていないもののことです。
期末が3月31日の場合、その日までに注文していれば、商品が到着するのが4月1日以降でも、費用計上しなくてはなりません。
ですが、モノ自体が手元にないため、決算時に計上し忘れるケースが多いです。

「トラック在庫」とは、発送はしているが引き渡しが完了しておらず、売り上げていないもののことです。
期末が3月31日の場合、先方へ引き渡すために商品の発送を完了していたら、売り上げが完了していなくても費用計上の対象になります。
先程と同様に手元には物がないため、決算時に計上し忘れることがあります。

上記の2つは、どちらも商品の確認がしにくい状況にあり、在庫として認識がされていないことが多いため、計上漏れしやすいので、きちんと確認しておくよう注意が必要です。

計上方法について

期末までに売れなかった商品は、その仕入れ高を資産として計上します。
通常、商品を仕入れた場合、その金額を「仕入れ高勘定」として費用計上しますが、決算では残っている商品は資産に振り替えて翌期に再度費用として計上することになっています。

例えば、棚卸しで残った商品を確認したところ、300円のものが100個あったとします。
そうすると、300円×100個で30,000円分の商品を資産計上する必要があるということになります。
その場合、借方科目に商品30,000円・貸方科目に期末商品棚卸高30,000円と記入し、資産計上として振り替え処理をします。
「期末商品棚卸高」は最終的に売上原価から差し引かれることになります。

ここで注意が必要なのが、同じ在庫でもそれが“商品”ではなく自社で製造した“製品”の場合です。
それは“製品勘定”で計上する必要がありますので、注意しましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。
残っている商品は会計上1つの資産として扱われますので、期末には計上するために損益計算書や貸借対照表に記入しなければなりません。
しかし、社内で計上額を調整したり利益調整に利用されることもあることから、税務調査では厳しく調べられるポイントの1つでもあります。
ですので、経理担当は詳細をきちん理解し、正しい方法で計上する必要があります。